アメリカの黒人差別と暴動について
こんな状況ですが、少し前に国際線の飛行機に乗る機会があり、そこでJOKERとパラサイト 半地下の家族をやっと見た。
実質アカデミー賞じゃんと思いながら、現実に存在する格差を取り扱った両作品をフィクションとして楽しんだのが1ヶ月半ほど前。
そして現在、アメリカが燃えている。
比喩ではなく実際に燃えている。
私は日本に生まれ育った純日本人だが、近年ヒップホップやR&Bなどを好んで聴いている身として、この問題に関心を持つべきだし※、私が好んで聴いている曲やアーティストたちの言葉をもっと理解できるようになるかもしれないと思い、最近読んだものや考えたことについて書き留めることにした。
(※上記の記述ですが、ブラックミュージックやカルチャーが優れているから、人種差別には反対しなければという意味ではありません。差別や歴史的背景を無視して彼らの文化を気軽に消費する態度は良くないなと思ったためですが、もちろん優れたカルチャーがあろうがなかろうが、彼らが人間である時点で差別は決して許されないことです。自戒もこめて追記します。)
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騒動について事細かく書くことはしないが、アメリカのミネアポリスで、無抵抗の黒人男性が白人の警察官に膝で首を押さえつけられたまま亡くなり、抗議デモが暴動へと発展し、さらに全米へ広がった。今は全世界でBlackLivesMatterという運動が広がっている状況である。
少し前からたまたまアメリカの近くに住んでいるので、時差が少なく一連の情報がかなりリアルタイムで入ってきた。
これまで同様の事件がアメリカで何度も起きていたのは知っていたし、理不尽な暴力に心を痛めると同時に、ここまで大きな暴動をリアルタイムで目にしたのは初めてで、暴動で放火や略奪が起こっている景色がJOKERのラストとも重なり、現実にあるのだなあアメリカはすごい国だなと最初は単に驚いていた。
事件の現場周辺の建物が燃やされ、商店の窓ガラスが割られ、略奪が始まると、日本で生まれ育った日本人の私はその急な展開についていけなくなる。
ただ、最初は平和的なデモだったのに警察は催涙弾を使い(白人至上主義者のデモでは使われないのに)、最初に商店の窓ガラスを割って略奪を煽ったのは白人であるといった情報(真偽は定かでない)などが流れていて、アメリカの分断を目の当たりにした気分になっていた。
そんな中以下の記事を目にした。
略奪行為の擁護論jfissures.wordpress.com
日本人にはめちゃくちゃに映る略奪行為を、歴史的背景と現在のアメリカの黒人が置かれている状況から擁護する文章である。
もちろん放火や略奪といった暴力を一方的に賛美することはできないし、暴動によって一部では黒人に対する差別意識をさらに強めている側面もあるだろう。支配者層である白人から理不尽に行われた暴力に対して、被支配者層が非暴力で抗議し戦うことは大きな意義がある。暴動と分断を避けようと連帯を呼びかけている人もまた差別と戦っている。
しかし、この記事を読んだら安易に「略奪はいけない」「暴力はいけない」などと言えなくなってしまった。
アメリカの建国の歴史は黒人奴隷の歴史とイコールであり、黒人奴隷を虐げ、搾取して発展してきた国に、黒人として生まれるというのは全く計り知れない。この世に生を受けると同時に、すごいものを背負わされてしまう。
私は女性としてすでに差別が存在している世の中に生まれてきたが、生まれもった特性を理由に外を歩いているだけで逮捕されたり、殺されたりする危険性はまずない。理不尽に命を奪われたりしないように、大人が子供に警察官への接し方を教えることもない。
考えれば考えるほど、調べれば調べるほど何もわからなくなった。というか最初から理解などできるはずもないのだが、もう何にもしゃべれなくなった。
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とにかく無力感がすごいし、もう何もしゃべれないのでここで終わりますが、今現在差別と戦っている全ての人に敬意を表し、その心に寄り添います。
BlackLivesMatter!